1. はじめに -バイオレメディエーションにおける律速因子と酸素供給-
油汚染土壌・地下水の浄化手法として、バイオレメディエーションは低コストであり、持続可能な、環境に優しいアプローチとして注目されている。油のバイオレメディエーションでは、適切な微生物が存在し、それらの微生物が分解対象物質(油)と接触することが最低条件で、尚且つ、微生物は水に溶けた酸素、栄養(窒素、リン、カリ)を必要とする(図-1)。図-1 油の分解は酸化分解であり、好気的環境が望ましく、酸素供給が律速因子とならないように環境を整える必要がある。(理論的には、例えば油類の一種であるベンゼン1kgの微生物分解に必要とされる酸素量は約3kgである。)そこで我々は、微生物活性を高めるため、“酸素供給”に着目し、酸素徐放剤とバイオカタリスト(生体触媒)が微生物を活性化できるか否か、室内試験で検討を行った。 【酸素徐放剤】 酸素徐放剤には、マグネシウム系、カルシウム系等がある。いずれもpHがアルカリである点に注意が必要となる。本試験で使用した酸素徐放剤は、過酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム二水和物で構成され、過酸化カルシウムの含有量が30%前後の非危険物製品である。 【バイオカタリスト(生体触媒)】 自然由来の有機物から精製される酸素が豊富な水で、微生物活性を高めることができる。バイオカタリストは、水中から酸素を放出するわけでも、水面から酸素を取り込むわけでもない。触媒作用により、水分子から酸素原子を引き離すと同時に、酸素が微生物の細胞表面に取り込まれる。生体触媒中の酸素は遊離型ではないため、溶存酸素として測定することはできない。