海産無脊椎動物の発生に対する影響

ウニ(Toxopneusts pileolus)の発生試験
 当該微生物製剤の生物への影響を確認するために、ウニ卵(ラッパウニ、Toxopneusts pileolus)の受精実験を行った。こうした受精実験は、カナダ環境省およびアメリカ環境保護庁において、海水の生物検定法に用いられている。
 また、比較のため油処理剤および家庭用中性洗剤を用いた実験を行った。 微生物製剤、油処理剤および家庭用中性洗剤を海水に添加し、0ppm(コントロール)、1ppm、5ppm、10ppm、50ppm、100ppmとした。これら溶液中において受精実験を行い、顕微鏡下で卵100個の受精膜形成を観察、計測し、4回反復した平均値をウニ卵の受精率データとした。
ウニ卵の受精率
濃度(ppm) コントロール 当該微生物製剤 油処理剤 家庭用中性洗剤
0 95%


1
96% 78% 82%
5
92% 61% 20%
10
92% 41% 6%
50
80% 13% 1%
100
68% 4% 0%
 実験の結果、微生物製剤、油処理剤、家庭用中性洗剤とも、海水中の濃度が高くなるに従い、ウニ卵の受精率は低下した。しかし、影響の程度は大きく異なり、100ppmの受精率は、油処理剤4%、家庭用中性洗剤0%と受精を著しく阻害するのに対し、微生物製剤は68%と影響が小さかった。従って、油処理剤、家庭用中性洗剤と比較すると、当該微生物製剤の影響は小さいと判定される。
引用; Bioremediation on the shore after an oil spill from the Nakhodka in the Sea of Japan, II. Toxicity of a bioremediation agent with microbiological cultures in aquatic organisms, Marine Pollution Bulletin 40 308-324(2000)