水生生物に対する急性毒性試験
 水生生物に対する安全性試験としては、短期飼育試験(急性毒性試験)と長期飼育試験(亜急性毒性試験)とを実施した。
(1)デバスズメダイの生存に及ぼす影響(7日間の短期飼育試験:急性毒性試験)*1)
 各区10尾のデバスズメダイ(平均体長約3cm、体重約1g)を20リットルの人工海水中で7日間、28℃、一日当たり給餌3回(朝、昼、晩)で飼育観察した。
 試験区の飼育水には当該微生物製剤を濃度0.1%になるように添加した。(微生物製剤の添加試験)
デバスズメダイの生存率(7日間の短期飼育試験)

死亡数(尾) 生存数(尾) 生存率(%)
対照区 0 10 100
試験区 0 10 100
 飼育試験の結果より、デバスズメダイに対する急性毒性は認められなかった。
(2)アユ稚魚の生存に及ぼす影響(7日間の短期飼育試験:急性毒性試験)*1)
 各区20尾のアユの稚魚(平均体長約8cm、体重約5g)を100リットルの淡水(地下水)中で7日間、19〜20℃、一日当たり給餌3回(朝、昼、晩)で飼育観察した。
 試験区の餌には当該微生物製剤を濃度0.1%になるように添加した。(微生物製剤の投与試験)
アユ稚魚の生存率(7日間の短期飼育試験)

死亡数(尾) 生存数(尾) 生存率(%)
対照区 0 20 100
試験区 0 20 100
 飼育試験の結果より、アユの稚魚に対する急性毒性は認められなかった。
(3)アユ稚魚の生存に及ぼす影響(30日の長期飼育試験:亜急性毒性試験)*1)
 各区20尾のアユの稚魚(平均体長約8cm、体重約5g)を80リットルの淡水(地下水)中で30日間、19〜20℃、一日当たり給餌3回(朝、昼、晩)で飼育観察した。
 試験区の餌には当該微生物製剤を濃度0.1%になるように添加した。(微生物製剤の投与試験)
アユ稚魚の生存率(30日間の短期飼育試験)

死亡数(尾) 生存数(尾) 生存率(%)
対照区 5 15 75
試験区 4 16 80
 飼育試験の結果より、対照、試験の両区にアユの死亡が認められたが、死亡数は試験区で少なく、死亡したアユの解剖結果からも異常はまったく認められなかった。アユの死亡が試験開始後の一週間に集中したので、死亡原因は飼育環境の変化によるショック死ではないかと考えられる。従って、アユの稚魚に対する当該微生物製剤の亜急性毒性は認められないと判定される。
(4)ニジマスの生存に及ぼす影響(4日間の短期飼育試験:急性毒性試験)*2)
 ニジマス(平均体長約30mm、体重約0.25g)を10リットルの脱塩素した水道水中において、4日間15℃で飼育した。
 試験区の飼育水には当該微生物製剤を濃度0.1%(10,000 mg/L)になるように添加した。(微生物製剤の添加試験)。

 飼育試験の結果より、当該微生物のLC50*3) は>10,000 mg/Lであった。これより、当該微生物のニジマスに対する急性毒性は認められなかった。
参考: 界面活性剤(LAS直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;一般的に使用されている界面活性剤)のニジマスに対するLC50=4.7mg/L。
(5)ミジンコの生存に及ぼす影響(2日間の短期飼育試験:急性毒性試験)*2)
 ミジンコを200ミリリットルの脱塩素した水道水中において、2日間20℃で飼育した。
 試験区の飼育水には当該微生物製剤を濃度0.1%(10,000 mg/L)になるように添加した。(微生物製剤の添加試験)。

 飼育試験の結果より、当該微生物のLC50*3) は>10,000 mg/Lであった。これより、当該微生物のミジンコに対する急性毒性は認められなかった。

*1)引用; Bioremediation on the shore after an oil spill from the Nakhodka in the Sea of Japan, II. Toxicity of a bioremediation agent with microbiological cultures in aquatic organisms, Marine Pollution Bulletin 40 308-324 (2000)
*2)試験機関;BEAK CONSULTANTS LIMITED (Canada,1993)
*3)LC50; Madian Lethal Concentration(半数致死濃度)
試験生物の50%を死亡させたと推定される濃度。水生生物に対する急性毒性の程度を示す指標で、値が低いほど高い毒性を表す。