バイオ(微生物)による油・VOCの汚染の浄化、土壌・地下水汚染の対策、排水の処理を実現するバイオレメディエーション
株式会社 バイオレンジャーズ

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Technology Column土壌・地下水汚染浄化の最前線

Vol.7バイオレメディエーションによる土壌汚染の浄化方法

バイオレメディエーションは、油による土壌汚染を浄化する手法の一つで、微生物によって油を分解して浄化するため、環境負荷が小さく、建物を壊さなくても土壌汚染を浄化できるというメリットがあります。

土壌汚染の調査からバイオレメディエーションにて土壌浄化を行うまでの流れをご説明いたします。

土壌汚染のボーリング調査

土壌に油が漏れ出したことが判明したら、どの範囲まで汚染されたのかを調査する必要があります。油が土壌にしみ込んだら、その油が表層部分のみを汚染しているのか、それとも地下深くまでしみ込み、地下水まで汚染しているのか、汚染の範囲が地下で広がっていないかなど、ボーリング調査を行います。

ボーリング調査では、地下の地質を調査するために、専用の機械で地表から穴を開けて、地中の土壌を採取します。

どの位置を掘っていくのか、また何か所掘るのかは、土壌汚染の度合によって、経験で決められることが多いようです。基本的には、土地を10m四方で区分けをし(単位区画)、その区分けをした区画の中央で土壌を採取します。

また、ボーリングを行う深さは、どの程度の量の油が漏れ出したのか、過去にボーリング調査をしたことがあればそのときの土質・地層、粘土層の有無を参考にすることもあります。

土壌を採取したら、その土壌に油がどれくらい含まれているかを分析し、どの範囲に汚染が広がっているかを判断します。

土壌浄化計画

ボーリング調査後は、その調査報告書を基に浄化計画を立案します。土質や油汚染の広がり度合、建物の有無、予算や土地の引き渡し時期、地下水汚染の有無などから、最適な浄化工法を決めます。

バイオレメディエーションが採用された場合は、この計画の段階で、製剤の使用量や注入間隔、注入方法が決められます。

当社へのご相談は、この調査報告書が出た段階でいただくことが多いです。調査報告書に基づいてお見積りをお出しします。

トリータビリティ試験

バイオレメディエーションで浄化ができるかどうかは、それぞれの現場によって条件(油種、油分濃度、土質など)が異なるため、油汚染された土壌を当社までお送りいただき、あらかじめ浄化効果を確認するための試験を行います。があります。

試験期間は1週間~1か月程度です。

トリータビリティ試験の結果、浄化可能であると判断できたら、現場での浄化の準備を始めます。

バイオレメディエーションによる土壌の浄化工法

バイオレメディエーションによる土壌の浄化工法には、どのようにして微生物を土壌に送り込むかにより、いくつかに分けられます。

ランドファーミング

ランドファーミング

土壌汚染が比較的浅い場合に適用される方法で、汚染された土壌を掘りあげて一か所に山積みし、バイオ混合液を散布して土壌と混合します。

いつでも土壌を手に取れるので、油臭や油膜を確認したり、、土壌を採取して油分濃度を確認するための分析に出したり、浄化の進捗を簡単に確認できるというメリットがあります。

ランドファーミングで大切なことは、土壌が乾燥しないように(含水を保つために)、定期的に水を撒いて撹拌することです。微生物は、水に溶けた酸素、水に溶けた栄養(窒素、リン、カリ)を使います。そのため、土壌がカラカラに乾いてしまったら、微生物が油を分解する力が衰えてしまいます。それから、微生物と油が接触することも大切で、そのためには、定期的な撹拌も欠かせません。

ランドファーミングは、以下にご紹介する方法の中でも、最もお勧めの方法です。土壌の状態がチェックしやすく、土壌と微生物を効率的に接触させやすいので、浄化が早く進むためです。

ただし、土壌を掘りあげる必要があるため、建物がある場合には適用できませんし、掘りあげた土壌を仮置きするための敷地が必要です。

インサイトミキシング

インサイトミキシング

インサイトミキシングは、汚染された土壌を掘りあげず、そのままの位置で、バックホウや柱状改良機などを使用してバイオ混合液と土壌を混合する工法です。土壌汚染が浅い場合に使用され、バックホウのバケットが届く範囲の深さまでであれば適用可能です。

ランドファーミングと比較すると、汚染土壌を掘り上げる必要がなく、油の二次汚染を気にする必要がありません。

インサイトミキシングも、ランドファーミングと同様に、建物の下の土壌汚染には対応できません。

ランドファーミングとインサイトミキシングにおけるモニタリング

ランドファーミングとインサイトミキシングでは、土壌を採取し、浄化の進捗をモニタリングします。モニタリングの項目は、油分濃度(TPH)、油臭・油膜、含水率、pH、窒素・リン濃度、全微生物数などです。

窒素とリンは、微生物が油を分解するのに必要な成分です。残っている油の量に対して必要な窒素・リンの量が少なくなってきたら、栄養剤を追加します。

モニタリングの頻度は、最初は1~2週間に1回、その後は、1か月に1~2回程度です。油分濃度が目標値を達成したら、浄化完了です。

ロッド注入(ダイレクトプッシュ)

ロッド注入(ダイレクトプッシュ)

ランドファーミングやインサイトミキシングでは到達しにくい深い場所の土壌浄化には、ロッド注入(ダイレクトプッシュ)を用います。ランドファーミングに次いで利用されている工法です。

ロッド注入では、ボーリングマシーンを用いて地中にロッドを挿入し、ロッドを引き上げながら、各深度にバイオ混合液を注入します。

注入間隔は、土質によって異なります。水の浸透性が悪い土壌では、注入地点が10m四方に40本を超えることもあります。

注入後、分解を促進させるために、バイオベンティングを行うこともあります。バイオレメディエーションで使用する微生物は好気性なので、酸素が必要です。バイオベンティングでは、バイオ混合液を注入した後の穴に一定間隔で無孔管を差し込み、地上で各無孔管をブロワに配管、地中のガスを排気することによって、地中に酸素を導入します。排気されたガスを検知管などで測定すると、地中の状況が分かります。

バイオベンティングを行い、排気したガスに油臭がなくなり、ガスの測定結果が期待値となれば、再度ボーリングを実施して、土壌を採取します。土壌中の油分濃度が目標値を下回っていたら浄化完了です。

井戸注入

井戸注入

井戸注入とは、φ50mm程度の井戸を設置して、井戸からバイオ混合液を注入する工法です。高低差による自然圧力により上からジワジワと入れて浸透させる自然浸透と、井戸にふたをして圧力をかけて入れる圧力注入があります。

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