株式会社 バイオレンジャーズ

バイオ(微生物)による油・VOCの汚染の浄化、土壌・地下水汚染の対策、排水の処理を実現するバイオレメディエーション

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Technology Column土壌・地下水汚染浄化の最前線

Vol.4複合微生物製剤「オッペンハイマー・フォーミュラTM」による油汚染土壌・地下水浄化技術

「油」‐複合なる汚染物質‐

「油」には、動物油、植物油、鉱物油があるが、一般的に「油による土壌・地下水汚染」とは、主に石油系炭化水素(鉱物油)からなる石油製品による汚染のことである。

石油の主成分は炭素と水素からなる化合物で、炭化水素の「複合物(混合物)」である。石油を構成する炭化水素は、炭素数がC1~C4(常温で気体)のものからC50以上のものまで(低分子から高分子まで)、沸点も常温から700℃以上までが広く分布し、主に飽和分(パラフィン、ナフテン)と芳香族分からなっている。それらを製油所において精製し、各種の石油製品(ガソリン、灯油、軽油、重油、潤滑油など)を製造しているが、精製工程で複雑に分別、混合されているので、その成分は異なっている。

ガソリンは主にC4~C12の範囲の石油系炭化水素からなり、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)を含む。高オクタン価ガソリン(ハイオクガソリン)には、オクタン価を高める目的で、トルエンが24%程度含まれる。

灯油は主にC8~C16の範囲の石油系炭化水素からなり、キシレンを含む。

軽油、A重油は主にC10~C26の範囲の石油系炭化水素からなっている。

いずれの石油製品も化学特性(化学式)は「特定できない」とされている。油が複合物(混合物)であるからである。

「油による土壌・地下水汚染」の浄化対策を講ずるには、まずは「油」を知らなければ、効果的な浄化対策を講ずることはできない。

油による汚染の浄化(処理)方法には、表1.のとおり様々な方法があるが、バイオレメディエーションを除くほとんどの方法は、二次的な廃棄物処理が必要となる。さらに、プラント設置や稼動に比較的多くの投入エネルギーを必要としたり、土壌や地下水の性状を強酸性や強アルカリ性に変えてしまったりするので、コスト面や環境面でも負荷が高い。

一方、バイオレメディエーションは、微生物の活動そのものを利用するので、投入エネルギーが少なく、また、油を最終的には水と二酸化炭素に分解するので、二次的な廃棄物処理も必要なく、コスト面や環境面でも負荷が低い。

表1. 油による汚染の浄化(処理)方法(例)

熱処理(加熱、焼却・・・)
化学処理(過酸化水素・・・)
石灰、紫外線、オゾン・・・
移動回収(洗浄、ガス吸引、揚水・・・)
掘削除去(置換)
固化封じ込め
バイオレメディエーション

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「複合微生物」が可能にする「複合汚染」対策
‐新しいバイオレメディエーション‐

バイオレメディエーションは、微生物が持つ汚染物質の分解能力を利用する技術であるが、それ(分解能力)を生かすも殺すも、その(微生物の)使い方(エンジニアリング)次第であると言える。

従来のバイオレメディエーションは、汚染現場に生息する微生物を活性化させる方法(バイオスティミュレーション)であるが、汚染物質に対応する微生物の有無、量、汚染現場での有効性、制御など、不確実な要素が多く、さらに、特定の汚染物質を分解する微生物を大量に培養し、導入するような方法でも、単一の微生物だけで「複合汚染」に対応することは至難の業である。

本技術は、複合物(混合物)である油を分解する能力を持つ多様な微生物を高濃度に含む複合微生物製剤「オッペンハイマー・フォーミュラ」を汚染現場に適用する技術(バイオオーグメンテーション)で、確実に汚染物質を無害な有機物(最終的には水と二酸化炭素)に分解する。本製剤は、各地の自然環境から採取された「複合微生物系」(コンソーシア)で、「複合微生物系」を構成する個々の微生物の相互作用(チームワーク)により、油のような複合物(混合物)の分解を可能にし、多様な汚染物質や環境にも対応することができる。

「複合汚染」には「複合微生物」を。複合物(混合物)である油による土壌・地下水汚染には、多様な微生物の有機的な働きが求められる。

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複合微生物製剤「オッペンハイマー・フォーミュラ」‐効果と安全性‐

「オッペンハイマー・フォーミュラ」は、海洋微生物学の権威であるDr. Carl H. Oppenheimer(テキサス大学名誉教授)によって開発された油類分解複合微生物製剤である。本製剤は、1990年にメキシコ湾で発生したタンカー(メガ・ボルグ号)爆発事故による原油流出時に、海洋油汚染対策としては、世界で初めて使用され、米国環境保護局(EPA)の国家緊急対応計画製品目録(National Contingency Plan Product Schedule)にも、微生物製剤(Microbiological Cultures)として登録されている。日本では1997年のナホトカ号重油流出事故時に、兵庫県の支援を受け、実験的に使用されたことを皮切りに、環境省「地下水浄化汎用装置開発普及調査」(2001年)、経済産業省「即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業:複合微生物活用型土壌・地下水汚染高効率浄化技術の開発」(2002年)、環境省「環境技術実証モデル事業:小規模事業者向け有機性排水処理技術:複合微生物活用型トルネード式生物反応システム」(実証番号:020-0305)(2003年)と、数々の公的な研究開発助成に採用されている。2006年には国土交通省NETIS(新技術情報提供システム)にも「複合微生物製剤による油類の浄化技術」(登録番号:KT-060059)として登録された。

豊富な実績

海外においては25年以上の使用実績があり、日本においても本製剤を適用した土壌・地下水汚染の浄化実績は、20年で500件を超えている。それらの多くがガソリンスタンドや油槽所などの石油関連施設で、BTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)を含むガソリン、灯油、軽油、重油などの燃料系の油による汚染であるが、最近では、比較的微生物分解が難しいとされる、一般工場の機械油などの潤滑油による汚染の浄化実績も多い。

A重油汚染土壌の浄化事例

一般工場の燃料配管からのA重油漏洩事故で、隣接する公園内の池に油膜が確認されて発覚した。汚染土壌量は約20,000m3で、公園内の木々は切り倒さないことが浄化工事の条件であった。浄化方法は、大部分を原位置浄化法(複合微生物製剤、栄養剤、必須元素水溶液の混合液を土壌・地下水中に注入、土壌中のガス交換を促進する目的で、バイオベンティングを併用)で、掘削が可能な部分はランドファーミング法(複合微生物製剤、栄養剤、必須元素水溶液の混合液を土壌に混和、撹拌、養生)とした。油分濃度の推移を図1.と図2.に示す。

図1. 油分濃度の推移(原位置浄化法)

図2. 油分濃度の推移(ランドファーミング法)

機械油汚染土壌の浄化事例

一般工場跡地の機械油汚染で、初期油分濃度は平均約20,000mg/kgであった。浄化方法はランドファーミング法とし、冬期は積雪により撹拌が不可能であったものの、浄化は順調に推移し、約8ヶ月間(12月~翌年8月)で目標値の1,000mg/kgを達成した。油分濃度の推移を図3.に示す。

図3. 油分濃度の推移(ランドファーミング法)

難分解性物質の分解

一般的に難分解性とされる重質油(レジン、アスファルテンなどを含む)、潤滑油、多環芳香族炭化水素(PAHs)などの分解を、実験室レベルから現場レベルまで実証している。各種微生物製剤の多環芳香族炭化水素(PAHs)の分解比較データを図4.に示す。

図4. 各種微生物製剤の多環芳香族炭化水素(PAHs)分解比較データ

安全性

本製剤は、各地の自然環境から採取された「複合微生物系」(コンソーシア)であり、遺伝子組み換え微生物は含まれていない。品質管理の過程で病原性微生物が含まれていないことを確認しているほか、国内外において水生生物などに対する毒性試験や変異原性試験など、生態系に対する安全性試験を行い、いずれの試験においても安全であることを確認している。本製剤は、「油による土壌・地下水汚染」のみならず、工場や厨房などの排水処理、農業利用、養殖利用など、幅広い用途で使用されており、その効果と安全性は様々な場所で確認されている。表2.に本製剤の安全性試験一覧を示す。

表2. 本製剤の安全性試験一覧

試験項目 結果 出典・試験機関
病原性細菌の有無(マイクロアレイ解析) 独立行政法人
岐阜大学大学院医科研究科
病原性細菌の有無(脂肪酸解析など) テキサス州保健局
Accu Lab, Delaware, USA
大腸菌の有無 野外科学株式会社
毒素産生試験 MICROTOX TESTTM
(Grace Dearborn Inc. , Canada)
◎ 水生生物影響試験 ○ 淡・海水魚影響試験    
トウゴロイワシ(Menidia beryllina)

ニジマス(Rainbow trout)

デバスズメダイ(Chromis viridis)

アユ稚魚(Plecoglossus altivelis)

短期飼育試験・長期飼育試験







米国環境保護局 環境調査研究所

Beak Consultants, Canada

Marine Pollution Bulletin,
40 308-324(2000)

同上
○ 淡・海水無脊椎動物影響試験    
アミ(Misidopsis bahia)

ワムシ(Brachionus plicatis Muller)

ミジンコ(Daphnia magna)

ウニ(Toxopneustes pileolus)






米環境保護局 環境調査研究所

テキサス大学海洋研究所

Beak Consultants, Canada

Marine Pollution Bulletin,
40 308-324(2000)
○ 藻類影響試験    
珪藻(Skeletonema costatum) 環境庁油バイオレメディエーション
検討調査
変異原性試験 陰性 独立行政法人佐賀大学
財団法人化学物質評価機構
umu試験 陰性 独立行政法人産業技術総合研究所
財団法人化学物質評価機構
メダカの生育試験 陰性 熊本県立大学

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